2014-09-24
みがわりロボの登場がサイドレースという考え方について与えた影響とは何か。今日はそれについて考えてみます。

サイドレースとその効率

サイドレースとは「いかにサイドを与えずにサイドを引くか」という競争のことを指す用語です。殴り合い至上主義が顕著な現行レギュレーションにおける第一関心事と言ってよいかもしれません。

HPと攻撃力の両方が高いポケモンEXや、通常(=非EX)ポケモンでありながら攻撃力の高いものは、サイドレース効率が良いと言えます。

デッキ分類ごとのサイドレース効率

どのような特徴を持つデッキならサイドレース効率が良いのでしょうか? 今回は現行のデッキを2つの軸からなる4つのタイプに分類し、比較してみます。軸はそれぞれ、
  • 自分のバトル場にEXを残すかどうか
  • 相手のEX1匹を倒すのに要する攻撃回数が1か2か
で、具体例と共に以下の前提と図にまとめます。

BW-XY3での前提
前提1通常を前に出す>EXを前に出す
前提2EXワンパン>EXツーパン
デッキ分類図
仮称分類具体例
A「通常を前に出す」
「EXワンパン」
パルキア'13、キュレム、タママニュ、ブースター
B「通常を前に出す」
「EXツーパン」
アギルダー、ドンファン、フライゴン、カエンジシ
C「EXを前に出す」
「EXワンパン」
レックビール、カメケル、イベルタル
D「EXを前に出す」
「EXツーパン」
ビリゲノ、フレフワン、ホウオウ

前提を元に上図4群のサイドレース効率を比較すると、A>B≧C>Dです。要するに、EXより通常、ツーパンよりワンパンが偉い、ということです。

一見不利なD群で生き残るデッキの多くは、様々な形でこの前提を克服する手段を備えています。具体的にはGブースターを使う、弱点を突く、エネを共有する、回復する、ベンチを狙う等。また、「フラダリによってベンチのEXを引きずり出す」「非EX退治には非EXを使う」等も、C,D群がA,B群に対して追い上げるために有効な手段となります。

一般に言う「強いデッキ」というのは、サイドレース効率がそもそも良いか、コンセプト上の効率を改善するカードが多く含まれている場合がほとんどです。

みがわりロボの革新

XY4発売以後、みがわりロボの登場により、A~Dのいずれにも属さないデッキが生まれました。つまり、「ロボを前に出す」「EXツーパン」のデッキです。前提1は更新され、次のようになりました。
  • ロボを前に出す>通常を前に出す>EXを前に出す 
ロボは気絶してもサイドを与えない代わりに、ワザを持たず、自身でサイドを引くことができません。従って、「殴って引っ込む」系のデッキや、M進化により「EXワンパン」ポケモンを作り出す場合の壁役に適しています。これらのギミックの台頭が、XY4発売を受けての大きな環境変化であると考えます。

実際、このコンボで主にA群の「HPは低いが大ダメージを出す」ポケモンの長所を封殺し、ソーナンスやシンボラーといったサブプランによりC,D群への耐性を付けたナンスゲンガーは、早くも東西の私営大会で好成績を収めています。
参考:
  • 関西ネクストジェネレーションズカップ(http://kansaigene.diarynote.jp/201409211956126076/)
  • おーす!みらいのチャンピオン!杯(http://miraichamp.diarynote.jp/201409232349158075/)

ロボ対策

みがわりロボへの対策として、まずはフラダリが挙げられます。持続性は低いものの、EXワンパンのデッキが一時的な突破口を得るには手軽なカードです。しかし、EXツーパンのデッキでは基本的にこれが不十分で、呼び出したアタッカーの弱点を突くワザ以外でロボを壊すロボを壊したポケモンを倒されない等の工夫が追加で必要です。

もちろん、全てのトーナメントで常にロボを相手にするとは限りませんが、サイドレース効率における自勢力の上位存在にどう立ち向かうか? という不変の課題に対して、新たなアプローチが求められていることは確かです。