へその岩

東京でサイファとポケカやってます。 "Seriously, play more supports."

カテゴリ: PCG_ネタ

2015-02-24-1

「ドンファン」を用いて川柳を作れ

見出しのように言われた場合、ドンファンは何拍の言葉として用いるべきか? 答えは「4拍」です。これは多くの人が思い浮かべる通りかと思います。

「拍」は「モーラ」とも呼びます。モーラ(Mora)というのは音韻を考える上での単位です。例えば、ドンファンという単語は音声としては2音節、文字としては5文字ですが、川柳を作る際には4モーラという数え方をします。

ポケカとモーラ

ポケカでも、一部のルールやテキストはモーラと関連しています。

BWシリーズでは「アララギ博士」のドロー枚数とモーラは共に7で一致し、「チェレン」の場合は3で一致します。他にも、対戦準備の手札枚数は「ポケモンカード」の7モーラを口に出すことで覚えやすくなります。同様に、置くべきサイドの枚数は「スタンダード」の6モーラ、「ハーフ」の3モーラにそれぞれ対応しています。

このように、BWは山札操作で言葉遊びのしやすいシリーズでした。続くXYシリーズでもアララギ、チェレンと全く同じ機能を持つ別名のカードが登場しましたが、モーラによる遊びは一部再現できなくなりました。

Nのロジック

モーラとは無関係ですが、BWシリーズのドロー手段を語る上で欠くべからざる「N」のカードにも小ネタを探すことができます。
2015-02-24-2
彼は自然数(Natural number)がモチーフのキャラクターであるためか、互いのプレイヤーに必ずn枚引かせるテキストを持ちます。0ドローにはなり得ません。彼と同じ組織の中枢を担う「アクロマ」や「ゲーチス」のカードにはない特徴です。
参考:
  • 増田部長のめざめるパワー
    (http://www.gamefreak.co.jp/blog/dir/?p=539)
Nのキャラクター設定とルール文章を関連づける要素は他にもあります。具体的には、
  • 悪の結社「プラズマ団」の中核という立場は、過去の同型カード「ロケット団の幹部」に類似
  • 相手の手札に干渉する効果内容は「ポケモンを人の"手"から解放せよ」という彼の理念に沿う
等が挙げられます。以上はいずれも単なる想像に過ぎませんが、制作側のデザイン意図に重なる部分があれば嬉しいですね。

2015-02-23
経験はミスを防いだり、招いたりします。今回はゲーム外での話ですが……

キャリアの長いプレイヤーにありがちなミスの1つが、デッキレシピ上の「アララギはかせ」という表記。これはカード名としては誤りで、正しくは「アララギ博士」です。ポケモン世界には何人もの博士が登場しますが、従来のカード名では全て平仮名の「はかせ」が使われていたので、それが混同の原因になっています。

なぜ漢字になったのか? というと、恐らく同時期にゲーム版のポケモン世界で漢字表記が始まったことが理由になると思います。それが後発の「プラターヌ博士」や「オダマキ博士の観察」にも継がれています。ちなみに、過去には「オダマキはかせ」というカードも存在したので、彼を漢字で書くのに違和感がある人も居るかもしれません。

古い「はかせ」と新しい「博士」。僕はネット上で「アララギはかせ」の入ったレシピを見かける度に、多少もやっとしながらも、「この人は昔からポケカが好きなんだなあ」と勝手に思いを馳せ、一方的に嬉しくなっていたりします。

2014-11-19s4
リーク情報の聞こえ始めていた新ロジック、「古代能力」の存在が公式サイトでも公開されました。今後はどうやら、M進化ポケモンの取り柄もHPとワザの数値だけではなくなるようです。
ゲンシグラードンEX M進化ポケモン
  • 古代能力:Ωバリア……このポケモンは、相手が使うトレーナーズの効果を受けない。(ポケモンのどうぐ、スタジアムはのぞく。)
ゲンシカイオーガEX M進化ポケモン
  • 古代能力:αグロウ……このポケモンに、手札からエネルギーをつけるとき、同時に2枚までつけられる。(ワザ・特性・トレーナーズでつける場合はのぞく。) 
これに関しては、素直に「そう来たか」と驚きました。テキスト欄が狭いカードタイプにも、イラスト部分さえ余っていれば可能性を付与できる……という設計は予想外でした。

"原始"的な新鮮味

M進化といえば、その制作方針について、開発陣への過去のインタビューで次のように語られたことがあります。
  • 古閑D「イラストサイズがSRの全面イラストを除くと過去最大
  • 長島D「今の環境を保ちつつ、デメリットと強さを絶妙なバランスに」
今回の「古代能力」は、これまでのM進化のスタイルを全否定せず、そのインパクトやバランスを尊重した上で、遊びに新鮮さを与えてくれる要素となってくれそうです。
参考(ポケカネットジム):
  • クリエイター ~アートディレクター古閑謙一スペシャル対談~(http://www.pokemon-card.com/blog/2013/12/000366.html)
  • クリエイター ~ゲームディレクター長島敦スペシャル対談~(http://www.pokemon-card.com/blog/2013/12/000367.html)

複雑性への"回帰"

また、特性と「古代能力」を両方備えたカードの存在にも興味を引かれました。
ラグラージ 2進化ポケモン
  • 古代能力:αグロウ
  • 特性:ダイビングサーチ
  • ワザ:ハイドロポンプ
LEGEND以降現れなかった「ワザ以外の挙動を複数持つカード」の復活です。しかも、Rにして準フルアートの豪華仕様。個人的には、この1枚のプレビューでXY5以降のデザインへの期待が一気に高まりました。

今回の更新情報を見る限りでは、古代能力はイラスト欄を食うロジックのため、加工の凝ったR以上へ固めて配置されると予想しています。個人的には、EXやトレーナーズに力負けしないような、面白い能力を持ったRのポケモンが増えてくれると嬉しいです。

2014-11-19
当然の事と認知されているためか、あまり話題になっていない小ネタを1つ。

実はXYシリーズのカードには、全て「X」か「Y」の文字を含むエキスパンションマークかコレクションナンバーが記載されています。反対に、それ以前のカードのマークやナンバーには、「X」「Y」の文字が含まれていません。

つまり、XYシリーズのカードを見分けるには、マークかナンバーに「X」か「Y」の文字を探せばよいということです。

この事を覚えていれば、カードプールが「XY以降」のレギュレーションに沿ったデッキを作る際、「誤ってBWのカードを入れてしまった! この2シリーズ、外見似すぎ!」という事態を防ぐ役に立ちます。親切な仕様ですね。

2014-11-07
先日のバトルフェスタ東京への参加に関して、僕にはちょっとした自慢が有ります。もちろん、それは獲得した成績やプロモでも、使用したデッキレシピでもありません。では何かと言うと、早朝6時半に待機列へ加わってから10時の着席までの約3時間半に渡り、1度も順番の場所を離れなかったことです。

ディスプレイ越しの失笑やドン引きが目に浮かんで辛いですが、実は大変なことだと思います。というのも、こんな早くにTCG大会の会場へ着いた経験は過去に無かったので、「まあ、途中で尿意に負けるだろうな」というのが、僕の当初の見立てでした。列の大部分は、11月の外気にさらされて冷えましたし、実際、トイレに立つ(のかどうか定かではありませんが)待機者の往来が多くて、僕は何度も後背を蹴られそうになっています。実は、これがフェスタの1日を通して最も大変だった出来事です。

断っておくと、待機列と言えど誰かに「待たされた」のではなく、皆して「勝手に待った」だけですから、イベント運営元に文句を付ける意図はありません。もっと言えば、生理現象は抑えようがないので、こうしたことが起こるのは、会場待ちを行って得られるメリットと共に受け入れるしかない、とも思っています。

でも、列入りの前に用を足すとか、携帯ドリンク等において利尿作用のあるカフェインの摂取を避けるとか、身も蓋も無い話をすれば健康な若い男児である(笑)とか、そうした工夫やアドバンテージの積み重ねによって、霜降の寒空を乗り切ることは、個人として確かに可能だったわけです。

どうせ待つなら大人しく待った方が、後の日において自慢することが1つでも増えます。それに、まかり間違って「お前、列に横入りしたな」と不正疑惑をかけられるようなリスクも減るでしょうから、一石二鳥という見方もあります。ですから、次回からも、なるべく待機列ではウロチョロせずに済むよう心がけたいと思います。

さて、早いもので、今週末はイベントの舞台が熊本に移ります。知り合いがちらほら遠征すると聞いているため、僕はPCの前でゆっくりと朗報を待つことにします。

2014-10-22
意外と知られていませんが、湿気で反り返ったキラカードは、除湿によって真っ直ぐの状態に戻すことができます。

概要

必要な道具は以下の2点。
  • タッパーやジップロック等の密閉容器
  • シリカゲルに代表される除湿剤
どちらも100円ショップ等で手に入るもので大丈夫です。除湿剤は基本的にシリカゲル推奨

手順と所要時間

作業の手順は、カードを除湿剤と一緒に閉じ込めておくだけです。用いる薬品によってはカードを傷める可能性があるため、使用上の注意は必読です。

製品の種類にもよりますが、要する時間はおよそ数時間から半日

参考までに書いておくと、僕が使っている「100円均一のタッパー」と「薬局で買ったシリカゲル」の組み合わせでは、概ね半日ほどで除湿が完了しています。

他の手段との比較

除湿以外にも、多重スリーブでごまかしたり、逆方向に曲げ直したり、重い本の下に敷いて力ずくで直したりすることも可能です。これらの方法は手軽さが利点と言えますが、次のような欠点も併せ持っています。
  • カードが傷む
  • 常に多重スリーブを使えるとは限らない※1
※1……ポケカの場合、公式大会の上位ステージでは、1重スリーブの使用が規定されている場合があります。

なので、これらの方法を取ることは個人的には避けますし、他人にも勧めません。対して、除湿による反り対策には上記のようなデメリットが付随しません。

この小技は、僅かなコストでカードとデッキの見た目を改善でき、かつ、競技の場で意図せぬ不正(マークド)扱いを受けるリスクも軽減可能です。キラカードの反りに悩んでいる人は、是非一度試してみて下さい。

真っ直ぐなカードで楽しいTCGライフを! 来る大型イベントに備えて、作戦以外の準備にも気を配りたいものです。

2014-10-17
当ブログのアクセス解析で「みがわりロボ ポケモン サーチ」というフレーズを見かけました。恐らく「山札のみがわりロボはたねポケモンと見なせるか」という疑問を、誰かが検索エンジンにかけた結果でしょう。

結論から言うとルール上は不可能なのですが、この件に関する裁定は公式サイトに載っていません。ただし、サポセンから個人的に回答を貰っているので、今回はそれを要約して紹介します。
自分の山札からたねポケモンを2枚選び、ベンチに出す。そして山札を切る。
このカードは、HP30の無色タイプのたねポケモンとして、場に出すことができる。
Q:エモンガのワザ「なかまをよぶ」を使い、山札のグッズ「みがわりロボ」をベンチに出すことはできますか。
A:いいえ、できません。山札の「みがわりロボ」はグッズとして扱います。
ポケモンとして場に出せるグッズは古くから存在しているため、往時を知るプレイヤーにとっては他愛のない疑問といえるかもしれません。しかし、それらが最後に収録されたのは2009年の拡張パック「アルセウス降臨(Pt4)」で、実に5年前です。

ポケカはTCGの中でも使用可能カードとプレイヤーの代謝が比較的活発な方でしょうから、みがわりロボの収録先である拡張パック「ファントムゲート」を買った人の中には、ポケモン化するグッズに対して馴染みのない人も多そうです。

一言足した解釈

以下はルールに不安のある人向けですが、みがわりロボのテキストは、次のように読み替えると分かりやすいと思います。
このカードは、グッズとして手札から使ったとき、HP30の無色タイプのたねポケモンとして、場に出すことができる
要するに、グッズを使えるタイミングでしか、ロボはたねポケモンになれません。対戦の準備で出すことはできず、ブルブルパンチに封じられ、スケープゴートの弾にはならず、メタモンに重ねることもできず、ボールによる捕獲も不可能です。けれども場に出てしまえば、下記の3点を除けば通常のポケモンと変わりなく扱うことができます。
  • 自分の番の中でなら、場に出ているこのカードをトラッシュしてよい。
  • このカードは、にげられない。
  • このカードがきぜつしても、相手はサイドをとれない。
バトルフェスタの期間が来週に迫っています。公式イベントでは色んな人を相手に対戦を重ねることになるため、ルール解釈の相違に基づくトラブルが起こりがちです。

趣味のイベントで揉めて帰ってくるのは後味の悪いもの。フェスタに参加する場合、当日困ったらジャッジを頼る事はもちろんとして、前もって曖昧なルールを少しでも減らしておくと良いでしょう。

※2014-10-17 17:54追記

ロボとサーチに関しては、公式ブログ「ポケカネットジム」の2014-10-03の更新にて既出の事項でした。他のカードのルールについても言及があるので、こちらの記事も併読されることを勧めます。

2014-10-09
メタモン(BW6)はロボに変身可能か。公式サイトを調べてみると、既に回答が載っていました。
このポケモンは、自分の番に、手札からたねポケモンをこのカードの上にかさねて、そのポケモンになれる
このカードは、HP30の無色タイプのたねポケモンとして、場に出すことができる。
Q:メタモンの特性「へんしん」の効果で、自分の手札にあるグッズ「みがわりロボ」を、メタモンに重ねることはできますか?
A:いいえ、できません。

引用元:
  • ポケモンカードゲームQ&A(http://www.pokemon-card.com/rules/faq/details.php?id=9679)
できないようです。

例によって理由の記載は特に無し。手がかりにできそうなケースは思い浮かんだものの、それに近いQが見当たらなかったので、問合わせのメールを送りました。

しばらくの間は、伝え聞いたものも含めた種々の裁定から、「みがわりロボ」はグッズとして使用するまでは「たねポケモン」になれない(?)、と解釈することにします。(このケースだけ見れば、単に「場に出す」と「かさねる」は違うんだね、という話かもしれませんが)

てっきり、ベンチで不要になった、あるいは、ダメージを受けているメタモンをトラッシュする手段の1つに加えられるかと考えたのですが、そうも都合良くは行かないようでした。

2014-09-29
デッキ作りの最中、あなぬけのヒモ(BW6)のテキストを改めて眺めてみたところ、ある一文に目がとまった。(ひとりごとの延長のため常体使用)
(入れ替えは相手からおこない、ベンチがいないプレイヤーは、入れ替えをしない。)
「ベンチがいない」

ベンチ「が」とはどういうことだろうか。ベンチとはプレイグラウンド上の一箇所を指す言葉で、常在こそすれ、それ自体が居たり居なくなったりするものではない。例えば、空いたトイレを指して「トイレが居ない」などと言う文化を僕はよく知らない。

このテキストに関しては、明らかに「ベンチポケモン」のことを指して「ベンチ」と称している。意味は通じるが、「ベンチにポケモンがいない」とか、「ベンチポケモンがいない」とか、より相応しい表現を与えることも可能なはずだ。

注釈文の特例

なぜこのようなテキストに決まったのか。気になったので、手がかりを求めて公式サイトのアドバンストガイドを検索してみると、次のようなテキストの引用が見つかった。
[ベンチへのダメージは、弱点・抵抗力の計算をしない。]
これはLEGENDシリーズから記載されるようになった、ワザによるベンチダメージへの注釈文だ。(余談だが、これはルールの処理を明確化するためのもので、カードやワザ自体の効果ではない)

この「ベンチ」は、あなぬけのヒモ同様、確かにベンチポケモンのことを指している。ベンチは場所であり、ダメージを受けない。ダメージを受けるのはベンチポケモンなので、そう読み取るのが自然だ。

ヒモとベンチダメージのテキストには、注釈文であるという共通点が存在する。このことから推測すると、LEGEND以降の括弧や角括弧で閉じられた注釈テキスト内では、ベンチポケモンを単に「ベンチ」と呼んでよくなったのかもしれない。

LEGENDは新裏面のテキストインフレに歯止めをかけた素朴なシリーズだった。先述の注釈文に見られる「ベンチ」表記にも、テキストのシンプル化、文字数削減という目的があったのだろう。事実として、あなぬけのヒモのテキストは既に3行をフルに使っており、これに「ポケモン」の4字を足さずに済んだお陰で、結果的に1行増す事態を避けている。これだけでも、視覚への負担はやや軽くなる。

ポケカには「ダメージカウンター」や「トレーナーのカード」等の長い用語をいくつも縮めてきた歴史があり、それと似た現象と言えなくもない。

ルールの整合性

カードテキストは、それ自体が1つのルール。ルールを変えずに文字を省くのは難しい作業だ。例えば、次の似たような3つのテキストが示す処理はいずれも異なる。
  • 相手のベンチポケモンの数×20ダメージを追加。
  • 相手のベンチポケモンの数×20ダメージ。
  • 相手のポケモンの数×20ダメージ。
しかし、ヒモやベンチダメージは注釈文なので、当然、注釈を加える先となるテキストを持っている。ヒモなら「おたがいのプレイヤーは、それぞれ、自分のバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替える。」にあたる部分だ。そこでは「ベンチポケモン」という言葉が1度登場しているので、その後の注釈が「ベンチ」と略しても、意味がぶれない。文脈があるのだ。従って、省いても支障はまず無い。

まとめると、カードの文字数を減らすために注釈文の中では「ベンチ」の一言で「ベンチポケモン」を指すことがあるが、それでルール運用に齟齬のあるようなカードは存在しない、ということらしい。

ただし、これらは推測に過ぎないし、本来その一部を切り出さない限り引っかかるようなテキストでもないことは確認しておく。

ワープポイントの歴史

ところで、あなぬけのヒモの祖先にあたるカードとして、全く同一の能力を持つ「ワープポイント」というカードがある。このカードの歴史は長く、初出は旧裏面時代にまで遡る。

再録された回数も多い。それらのテキストを比較していくと、このゲームのルールが洗練されていく過程が伺えて面白い。注釈分だけ見ても、次のような違いがある。
  • PMCG:(入れ替えは、相手プレイヤーが先におこなう。控えがいないプレイヤーは、入れ替えをしない。)
  • VS:(ベンチにポケモンがいないプレイヤーは、入れ替えをしない。)
  • e,ADV,PCG,DP:(ベンチポケモンがいないプレイヤーは、入れ替えをしない。)
参考:
  • ポケモンWiki(http://wiki.xn--rckteqa2e.com/wiki/)
ポケモンは進化する生き物だが、カードのテキストも日々進歩を遂げている。ポケモンの進化に躊躇が必要なことは少ないが、開発室としては、長らく通用してきたテキストを見直し、手を加えることには慎重を期すだろう。今回取り上げた変更点はユーザーに違和感無く受け止められ、カードの見栄えを改善しているように見える。

ヒモの「ベンチがいない」テキストへの変更は、ワープポイントの注釈文における4度目の進化と言えるのかもしれない。

2014-09-24
みがわりロボの登場がサイドレースという考え方について与えた影響とは何か。今日はそれについて考えてみます。

サイドレースとその効率

サイドレースとは「いかにサイドを与えずにサイドを引くか」という競争のことを指す用語です。殴り合い至上主義が顕著な現行レギュレーションにおける第一関心事と言ってよいかもしれません。

HPと攻撃力の両方が高いポケモンEXや、通常(=非EX)ポケモンでありながら攻撃力の高いものは、サイドレース効率が良いと言えます。

デッキ分類ごとのサイドレース効率

どのような特徴を持つデッキならサイドレース効率が良いのでしょうか? 今回は現行のデッキを2つの軸からなる4つのタイプに分類し、比較してみます。軸はそれぞれ、
  • 自分のバトル場にEXを残すかどうか
  • 相手のEX1匹を倒すのに要する攻撃回数が1か2か
で、具体例と共に以下の前提と図にまとめます。

BW-XY3での前提
前提1通常を前に出す>EXを前に出す
前提2EXワンパン>EXツーパン
デッキ分類図
仮称分類具体例
A「通常を前に出す」
「EXワンパン」
パルキア'13、キュレム、タママニュ、ブースター
B「通常を前に出す」
「EXツーパン」
アギルダー、ドンファン、フライゴン、カエンジシ
C「EXを前に出す」
「EXワンパン」
レックビール、カメケル、イベルタル
D「EXを前に出す」
「EXツーパン」
ビリゲノ、フレフワン、ホウオウ

前提を元に上図4群のサイドレース効率を比較すると、A>B≧C>Dです。要するに、EXより通常、ツーパンよりワンパンが偉い、ということです。

一見不利なD群で生き残るデッキの多くは、様々な形でこの前提を克服する手段を備えています。具体的にはGブースターを使う、弱点を突く、エネを共有する、回復する、ベンチを狙う等。また、「フラダリによってベンチのEXを引きずり出す」「非EX退治には非EXを使う」等も、C,D群がA,B群に対して追い上げるために有効な手段となります。

一般に言う「強いデッキ」というのは、サイドレース効率がそもそも良いか、コンセプト上の効率を改善するカードが多く含まれている場合がほとんどです。

みがわりロボの革新

XY4発売以後、みがわりロボの登場により、A~Dのいずれにも属さないデッキが生まれました。つまり、「ロボを前に出す」「EXツーパン」のデッキです。前提1は更新され、次のようになりました。
  • ロボを前に出す>通常を前に出す>EXを前に出す 
ロボは気絶してもサイドを与えない代わりに、ワザを持たず、自身でサイドを引くことができません。従って、「殴って引っ込む」系のデッキや、M進化により「EXワンパン」ポケモンを作り出す場合の壁役に適しています。これらのギミックの台頭が、XY4発売を受けての大きな環境変化であると考えます。

実際、このコンボで主にA群の「HPは低いが大ダメージを出す」ポケモンの長所を封殺し、ソーナンスやシンボラーといったサブプランによりC,D群への耐性を付けたナンスゲンガーは、早くも東西の私営大会で好成績を収めています。
参考:
  • 関西ネクストジェネレーションズカップ(http://kansaigene.diarynote.jp/201409211956126076/)
  • おーす!みらいのチャンピオン!杯(http://miraichamp.diarynote.jp/201409232349158075/)

ロボ対策

みがわりロボへの対策として、まずはフラダリが挙げられます。持続性は低いものの、EXワンパンのデッキが一時的な突破口を得るには手軽なカードです。しかし、EXツーパンのデッキでは基本的にこれが不十分で、呼び出したアタッカーの弱点を突くワザ以外でロボを壊すロボを壊したポケモンを倒されない等の工夫が追加で必要です。

もちろん、全てのトーナメントで常にロボを相手にするとは限りませんが、サイドレース効率における自勢力の上位存在にどう立ち向かうか? という不変の課題に対して、新たなアプローチが求められていることは確かです。

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